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未来日記−黒薔薇の騎士−

「会いたい」って言葉

言うと気持ちが加速して

言われると嬉しくて

言えなくて悲しくて

言い出せなくて苦しくて

その言葉で救われたり絶望したり

意外に「好き」って言葉よりより重要な言葉なのかもね

家から一番近くにある梅田芸術劇場のスタバ前

彼は待っていた

不思議

コンタクトなしの0.1の視界の世界でも

彼だけは鮮明にこの目に映る

奥二重の、どちらかというとキツメの顔した彼の表情が優しくなる

「こんばんは」

「この前は、ごめんなさい。走って逃げて帰ったよね」

「あぁ。そうでしたね」

「夕子さん」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うわぁ。くる!!!!!!

「夕子さん、もう大好きなんです」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「あっ、は、はい」

「まだ、知り合ってそんなに日は経ってないですし、夕子さんが好きになってくれるまで待ちますので付き合って欲しいです」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

長すぎて、どれくらい沈黙があったか覚えていない

私は即答できなかった

嬉しい気持ちと付き合うことへの”覚悟”みたいなものが交錯していたから

「ありがとう。少し考えさせてくれないかな?」

「はい。何か思うことがあれば全部話してください」

「うん。」

また長い長い沈黙だった

何度も肩で息をして、消えそうな声で伝えた

「ねぇ、私さ、結婚願望もないし、付き合うってことにこだわらなくてもいいんじゃないかな?って思ってる」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

彼の表情に力が入る

「嫌です!僕は夕子さんの彼氏になりたいんです」

一撃された

親友が言っていた

男は女よりも独占欲が強いって

思い返してみた

今までお手合わせをしていた男性に「別に付き合わなくてよくない?」

って言ったら、たいてい曖昧な返事で「あぁ、うん」だった

嫌だと言い切ったのは彼が初めてだった

「ありがとう。嬉しい」

彼はホッとしたのか、思い溢れて

「やっと言えた」

そう言って、瞬きした瞬間、綺麗な涙を流した

好きだから、涙を流す彼をみて

心が動いた

そんな彼を愛しく思い、梅田のど真ん中で抱きしめた

続く