日記×続大和撫子(25)

鎌倉時代の女性。

今回紹介するのは、鎌倉時代に成立した「粉河寺縁起絵巻」に登場する長者の娘だ。

まず、絵巻の簡単なあらすじを紹介する。

昔、讃良(さらら)の長者という人がいた。

この長者の娘は、三年間も全身に悪質な皮膚病を患う病人だった。だが、仏の御慈悲のおかげで完治。

仏への感謝と畏敬の念から、出家して粉河寺を建てたという内容だ。

ところで、この娘はとても主体的に行動する。

まず、病気を治してくれた謎のさすらいの小童(正体は観音菩薩)が、決して治療費を受け取らずに帰ろうとするその行く手を、ひれ伏して塞ぐ。

そして、お礼の品々を小童に渡す。

たいてい、この手のさすらいの人物は、気がついたらさっさと姿を消しているのだが、この長者の娘は行く手を自ら塞ぐことで、物語のお約束展開まで阻止している。

病み上がりであるにも関わらず、かなりのド根性だ。

しかも、長者の娘は泣きながら小童に訴えたと言うから、泣き落としまで使ったことになる。

通常この手の仏教説話のヒロインは、もっとおとなしいものだと思っていたが、それは私の勉強不足だった。

鎌倉時代の女性を反映しているのか、積極的で根性のある長者の娘の活躍は、まだまだ続く。