城塞

28日金曜日

初台 新国立小劇場

阿部公房の芝居。

演出は「炎 アンサンディ」の上村聡史。

パッとおもしろいという芝居ではないけれど、あちらこちらひっかかる。

事前に阿部公房だと知らなかったら、時事ネタをベースにした新作かと勘違いするほど、今の状況にはまる。

「周りが全員敵だと思えた時、初めて楽になった」ということばが響く。

松岡依都美が若いスリッパ―役で健闘していた。ただ、このかっちりとした重たい配役の中で、無意識の内に真実を穿つせりふを吐く役回りなので、もっと軽さが出せる役者のほうが適役かな。

乘峯雅寛(のりみね・まさひろ)の美術は、最初、地下壕かと思わせるコンクリートむきだしの部屋。途中で奥の赤いカーテンが開くと煙突らしきものが何本も立っている景色が俯瞰で広がるので、ビルの上だとわかる意外性がある。

部屋の壁際にある椅子が映画館や劇場にある跳ね上げ式の椅子。

気が狂った父親を中心にした芝居の場という設定にあわせたものかな。ちょっと気になる面白い道具だった。

最後の場面の破壊力はなかなかのもの。

部屋の壁が動いて、がれきの山のような背景がでてくる。

爽快な後味もある終わり方。

広告を非表示にする