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スピリチュアルシェムリアップ

アンコール遺跡観光を終えてから、宿のプールでひと泳ぎして、少し居眠りしてから、パブストリートへ飲みに行った。パブストリートまでは歩いて10分位だ。その歓楽街に着く前に途中の商店の店先で飲み始めた。その方が安いかなと思ったからなのだが、パブストリートのビール代は缶ビールと変わらず0.5$で、それは時間によるのかもしれないが、とにかく安く飲めた。

その男がいる事に最初に気が付いたのは、その途中の商店の前だった。裸足の男が立っている事は気付いていたが、裸足もよくあることなので特に気に留めてはいなかった。

男が僕に付いて歩いてきている事に気が付いたのは、パブストリートの少し手前で車の往来を確認した時だ。おかしいな、と思い、試しにフルーツ屋台で試食させてもらい立ち止まると、その男も立ち止まったので間違いないと思った。

男に近付き、なんで付いて来ている?と聞くと、おそらくクメール語で英語はわからないと言う。僕も、クニョムオニジェイピアサークマエ、と言い、危険そうではないので、そのままバーに入った。男はバーの外にいる。店員さんに、彼が付いて来てるけど大丈夫かな?と聞いてみた。河岸を変えても男は付いてくる。男を座らせ、なんなんだい?と聞く。飲みたいわけでも、寄付が欲しいわけでもないようだ。英語を話す店員さんに通訳を頼み何か用か聞いてもらった。なんだかスピリチュアルな用件だそうで、僕に何かを渡したいそうだ。男がバッグの中から何かを取り出した。丁寧に何重かに包まれたその小さな包みを解くと、繭状に束ねられた、男の陰毛が現れた。いくらなんでもそれはない。悪いけどそれは受け取れないと伝えてもらうと、男はそれをバッグにしまい込んだ。店員さんにも礼を言い僕は飲み続けた。男は妙な踊りをした後、店員さんに促されて帰っていった。帰り際に男に手を合わせオークンと言った。男もオークンと言って階段を降りていったが、何故僕を選んだのかを聞き忘れた。