日記×続大和撫子(56)

室町時代の古典に登場する女性達から、室町時代の女性を読み解く。

今回紹介するのは、「文正草子」に登場する姉妹だ。

塩汲みからクビにされても、自暴自棄にならずに長者に這い上がった文正(ぶんしょう)と呼ばれる長者の二人の娘は、両親から溺愛され、徹底したお姫様教育を受ける。

おかげで、田舎暮らしの長者の娘達とは思えない知性と教養と気位の高さを持つようになる。

特に、彼女達の気位はすがすがしいまでに高い。

父親のかつての雇い主から「うちの息子の嫁に…」と申し込まれ、父親が乗り気の縁談でも、姉妹仲良く泣いて断る。

次に国司が求婚し、これまた両親が乗り気の縁談も、「国司風情とはイヤ」と泣いて断る。

姉妹の願いは、ただ一つ。自分達の知性と教養に見合う知性と教養を持つ、都の貴公子達と結婚することだった。

そんな気位の高い彼女達なので、商人に変装した貴公子と姉が恋に落ちた時の姉の葛藤が、「商人ごときと恋に落ちてしまうなんて…」と、葛藤の仕方も気位が高い。

だが、物語内では姉妹の気位の高さを肯定的に描き、なおかつ気位の高さゆえに姉妹が幸せになる設定にしている。

室町時代は気位の高い女性をよしとする風潮だったとわかるキャラクター造形だった。